『直感力』羽生善治

読書

直観とは何か

金出武雄先生と対談をさせてただいたときに「論理的思考の蓄積が、思考スピードを速め、直感を導いてくれる。…」つまり直感とは論理的思考が瞬時に行われるようなものだというのだ。

もがき、努力したすべての経験をいわば土壌として、そこからある瞬間、生み出されるものが直感なのだ。

 

「見切る」ことができるのか

将棋の世界には、「長考に好手なし」…むしろ、長く考えているのは迷っているケースが多いからで、創造的に考がえていることは少ない。

迷宮に入り込むことなく、「見切って」選択できるか、決断することができるかが、自分の調子を測るのに分かりやすいバロメーターになる

「見切る」とは、…正しいといった明快な答え、結論ではない。「わからないけれども、まあ今日はこれでいってみよう」とか「今回はこっちを選ぼう」と、絶対の自信はなくとも思い切りよく見切りをつけることができるかどうか。

 

将棋の強さか、型についての知識か

もう結論が出ているということを知っているかいないかで勝負が決まってしまうことがあるそれは「将棋が強いか弱いか」とは違う。その型についての「知識があるかないか」だ。

 

道のりを振り返らない

果てしなく長い距離をいきなり与えられたらイヤになるように、これまでの道のりを振り返ってしまうと、その長さが長ければ長いほど、その事実だけで自分を褒めたり、何がしかの代償があってしかるべきだと思ったりしてしまう

出来る限りのことをしても嫌気がさすのは珍しいことではない。だからこそ、検証がすんだら前へ進むべきなのだ

組織が長い期間成長を続けていくのが難しいのは、検証を重ねる事によって減速するからだと思っている。

 

自己否定しない

短期的には否定的で、長期的には楽観的に考える。

 

想像力と創造力

いつも、「自分の得意な形に逃げない」ことを心掛けている。

人は惰性の法則に従いやすい。新しいことなどしないでいたほうがラクだから、ほおっておくと、ついそのまま何もしない方へと流れてしまう。

意識的に、新しいことを試みていかないといけないと思う。

じっと見ていてもすぐには何も変わらないように見える。しかし、釣った魚と同じで、変わらないように見えて、それは間違いなく腐っていく。

創造力とは、まだ起こっていない、しかし起こるであろう現象を、リアリティをもって受け止める力のことだ。

そして、その想像力を働かせて頭の中に描いた何かを具体的に実現させるアイデア・発想が創造力だ。

創造力は、まったくのオリジナルでなければならない、ということはない。

大事なのは、それらの力を養おうとすることだ。

想像力と創造力の両輪を回しながら、進んでいく。

このときもどかしいのは、想像力がどんどん先へと行っているのに、想像力で追いつくことができないことだ。願わくば両輪は、その回転を同じスピードで、交互に前に出ながら進められるといいと思う。

 

思え通りにならない自分を楽しむ

自分が想定した、その通りでは面白くない。自分自身、思うとおりにならないのが理想だ。

変わっていく、変化し続ける自分を、納得しながら楽しむ。

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